要約

AuDHD(オーディーエイチディー)は、ASDとADHDが併存する状態を指す 非公式の当事者語 です。学術用語ではなく、SNS(Twitter/X・TikTok等)を起点に当事者コミュニティで広まった略語で、医学・研究論文では ASD-ADHD comorbidity(併存症)として記述されます。

詳細

DSM-5(2013)以前は、ASDとADHDの併存診断は認められていませんでした。DSM-5で併存診断が公式に認められたことを受け、疫学研究は ASD成人の ADHD 併存率を 30〜50% と推定しており(Hours et al., 2022)、両者の併存はむしろ一般的であることが示されています。

AuDHD という略語は、2020年代に英語圏の SNS で当事者が自己同一性を表現する言葉として広まりました。日本語圏でも主にX(旧Twitter)を通じて波及しています。学術的な診断名ではなく、以下の点に注意が必要です。

  • 公式診断名ではない: 医療現場や診断書で用いる用語ではありません。
  • 自己申告に基づく: SNS上の使用はセルフ診断を含むため、臨床的な併存診断と同一視はできません。
  • コミュニティアイデンティティとしての機能: 「ASDとADHDのどちらか一方には当てはまらない」自己経験を共有する場として機能しています。

臨床的には、併存例は感覚過敏・実行機能障害・睡眠問題・気分症状の複合が強く、支援は単独診断より複雑になります(ADHD・ASD併存ガイド 参照)。

参考文献

  • American Psychiatric Association. (2013). Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders (5th ed.; DSM-5).
  • Hours, C., Recasens, C., & Baleyte, J. M. (2022). ASD and ADHD comorbidity: What are we talking about? Frontiers in Psychiatry, 13, 837424. https://doi.org/10.3389/fpsyt.2022.837424

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